志賀高原 又七山(1810m) 2016年3月27日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:50 ゲート−−6:03 除雪終点(起点より1km)−−6:25 橋−−8:28 稜線−−8:36 又七山 9:01−−9:10 稜線を離れて西へ下る−−すれ違った登山者と立ち話(30分間)−−10:22橋(林道)−−10:50 除雪終点−−11:10 ゲート

場所長野県下高井郡山ノ内町
年月日2016年3月27日 日帰り
天候快晴
山行種類残雪期藪山
交通手段マイカー
駐車場林道ゲート手前に駐車余地あり
登山道の有無無し
籔の有無残雪のため笹藪無しだが場所によっては灌木がうるさい
危険個所の有無無し
山頂の展望樹林であまりよくない
GPSトラックログ
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コメント冬季通行止めの県道を歩いて車道が雑魚川右岸に移ってから斜面に取り付く。ここも例年より残雪が少なかったが藪は隠れていた。でも大型連休には雪はほとんど消えているだろう。途中までの地形が複雑で、登りはいいが下りは足跡が残っていないと元の位置で林道に出るのは難しいだろう。下山時に同じ県内の藪山猛者と遭遇、盛り上がって30分も立ち話をしてしまった




奥志賀林道起点 ゲートの先も除雪されていてラッキー!
積もっているのは金曜日の新雪のみ 気温は-10℃
ゲートより1kmで除雪終点 奥志賀牧場分岐
積雪はせいぜい50cmか 雑魚川を渡る橋
雑魚川。橋が無いと渡れない水量 橋のたもとから適当に取り付く
廃林道 また廃林道
またまた廃林道 熊棚が多く見られる
標高1560m付近 標高1610m付近。無雪期でも笹は薄そう
1612m標高点の明瞭な尾根に乗るとシラビソが増える 標高1670m付近
標高1690m付近。ここも笹は薄そうな 標高1720m付近
目印は2,3個見られた 標高1770m付近。急斜面を登っている
間もなく稜線 なだらかな稜線に出た
カモシカの足跡 又七山山頂(最高点)
又七山山頂の360度パノラマ写真。樹林であまり展望は良くない
1807.2m三角点のあるはずの場所 又七山から見た裏岩菅山〜烏帽子岳
稜線直下の急斜面から見た後立山(クリックで拡大)
稜線直下の急斜面から見た妙高、火打 稜線直下の急斜面から見た菅平高原
また熊棚 ブナの表面は熊の爪痕が良く分かる
林道到着 重くなった雪で足も重い
スノーモービルのトレースで助けられた でもトレースは奥志賀牧場方向へ。残念!
ゲート到着 出合った男性の車


 岩菅山から北に伸びる太い稜線上に又七山がある。登山道は無く主に山スキーや残雪期に登られる山で、数年前にDJF氏も残雪期に登っている。地形的には比較的なだらかで安心して登れる山と言えよう。アプローチのしやすさから考えると奥志賀高原スキー場付近を起点とする県道502号線(奥志賀林道)を使うのが一番効率的だろう。雑魚川を渡るのに車道の橋が利用可能なことが最大のメリットだ。

 奥志賀高原へと車を走らせるが想像以上に残雪が少ない。道端は雪の壁どころか地面が見えている場所も多い。まだスキー場は営業しているが、いつまで営業できるだろうか。県道入口はゲートが閉まっているがこれは当たり前。しかしゲートの向こう側が除雪されているのは想定外だった。いったいどこまで除雪されているのだろうか? 橋まで除雪されていればラッキーなのだが。除雪したのにゲート前にはわざわざ雪を積み上げて車が入れないようになっていた。こんなことをしなくても施錠されたゲートがあるのでマイカーは入れないのに。よってゲート前に駐車しても問題なさそうだったが、念のために道路反対側の広場の端に駐車した。

 今回の装備であるが、昨日の大平山より深い位置にあり新雪が多いことが予想されたためスノーシューは持っていく。アイゼンは軽アイゼンでいいとしてピッケルは悩んだ。オーバースペックだが、最後の急斜面でピッケルがあればスノーシューを脱がずに登り下りが可能になるので持って行くことにした。

 雪を越えてゲート横から舗装された林道へ。きれいに除雪されているが、金曜日の新雪が多くの個所で路面を覆い隠していて、できるだけ雪の薄い個所を歩く。まだ数cmの積雪なのでスノーシューの出番ではない。

 ゲートから1km地点、大沢の橋の手前で除雪が終わっていた。残念。この先は古い雪の上に新雪が積もった状態だ。でも古い雪の深さはせいぜい50cmとこの時期にしてはかなり少ない。古い雪を踏み抜くことは無いが、昨日半端に溶けた新雪が沈むのでスノーシューを装着した。

 雑魚川を越える橋までは緩やかな下り坂が続くので「行きはよいよい帰りは怖い」だ。これで気温が上がってもっと雪が緩むと林道歩きは地獄になることは、2週間前の真那板山で体験済みだ。ここがスノーシューが一番活躍する場になるかもしれない。

 雑魚川は水量が多くて川幅も広く、見る限り渡渉はほぼ不可能だった。橋の存在がありがたい。

 橋を渡ってすぐに右手の斜面に取り付く。地形図を見るとしばらくは特徴に乏しい地形が続き読図困難だ。方位磁石で東を確認、そちらへと適当に進んでいく。途中で小尾根にぶち当たったらその尾根を詰めれば1612m標高点のある尾根に乗れるはずだ。まあ、どこも緩い地形なので、わざわざ尾根を登らなくても東を目指せば又七山と岩菅山を結ぶ稜線に乗ることは可能だろうが。

 昨日の大平山と違って笹はほとんど見えずブナと雪原が続く。今日は頭から新雪を被ることはなさそうだ。矮小なブナを避けて歩きやすいところを拾いながら東へと進む。途中、3,4個所で法面状の地形が見られ廃林道のようだった。後で確認したら地形図の破線が廃林道であった。廃林道化してから長年経過しているようで、今は廃林道の上にもブナが生えていた。

 計画どおり、適当な小尾根に乗ってからはひたすら尾根上を歩いて上を目指す。あちこちの木には熊棚が目立ち、熊の多さがうかがえる。特にブナの木は幹表面がスベスベで熊が木登りした爪痕がはっきりと見て取れる。これに対してミズナラなどは木の表面がデコボコして爪痕が分かりにくい。

 1612m標高点の尾根に乗るとシラビソが優勢になる。尾根南側はほとんど雪が無くて笹が顔を出していたが、シラビソだと日陰になって勢いが無いのか笹は薄かった。もしこの状態が続くのなら無雪期でも意外と楽に登れるかもしれない。シラビソは冬でも落葉せず日陰を作るので、シラビソの北側の雪は溶けにくく締まりにくい。スノーシューでも15cmくらい沈んで足が重いので、できるだけシラビソの南側を歩いたり、所々に混じっているブナの近くを通過するのが楽だ。尾根上はシラビソが主体だが北側を見るとダケカンバやブナなど落葉樹が主体だったので、スキー同様に谷筋を歩いた方がいいかもしれない。

 正面の傾斜が徐々にきつくなってくると、ふと目の前の細いブナの木に古いリボンを発見。先人の足跡だ。その先のシラビソには雪面から低い位置にリボンが付けられていて、雪が少ない時期か無雪期に登ったようだ。雪があれば自分の足跡が目印になるので目印不要だが、5月くらいの残雪期終盤で締まった雪の上を早朝に歩いた場合はほとんど痕跡が残らないから目印が必要になる。今日は新雪の上に自分の足跡がクッキリと残るので下山用目印は不用だ。

 地形図を見るとかなりの急斜面だが、最近は雪の急斜面をよじ登ることが多く、今回はそれほどの傾斜とも感じなかった。とは言えスノーシューを履いたままで新雪の急斜面を登ると足元の雪が弱層を境に崩れてしまうので、思いっきりガニマタでスノーシューを逆ハの字にしてスノーシューの横方向に体重を分散させ、ピッケルにも体重を預けて足もとの崩れを防ぐ必要があった。新雪が乗ってなければ苦労せずつぼ足で登れるだろう。急斜面の区間は比較的樹林に隙間が多く、登りでは気付かなかったが下りでは正面の後立山が良く見えた。帰ってから写真を見て気付いたが剱岳も見えていた。

 南北に長い太い稜線に出れば山頂は近いが、雪庇状にうねる吹き溜まった新雪の量が多くなり足が一気に重くなった。スノーシューで正解だった。昨日の大平山と標高はほぼ同じであるが、又七山はより新潟県境に近いので雪の量が多かったようだ。新しいカモシカの足跡も潜っていた。ほとんど水平移動だが平らな場所の方が新雪が多いようで、これまでの適度な登りと労力的にはあまり変わらないように感じた。

 最後に僅かに高度を上げて登り切ったところが地形図上の1810m峰、又七山最高点=山頂だ。周囲は背の高いシラビソとダケカンバに囲まれて展望はすっきりしないのが残念。目印等は一切無かった。せっかくだからと三角点があるはずの位置まで空身で進んだが、三角点の形跡は全く分からなかった。たぶんここでの積雪量は基本的には1m程度、雪庇状の吹き溜まりで2mくらいではなかろうか。根元付近に笹が見えている樹木もあり、明らかに雪が少ない。本当に大型連休には雪庇以外は雪が溶けて無くなっているかもしれない。見えている笹の状況からしてそれほど酷い笹藪とは思えず、DJF氏も書いていたように無雪期でも意外に簡単に登れてしまうかもしれない。

 最高点に戻って朝飯の残りを食って白湯を飲む。昨日の大平山ではペットボトルに水を入れて担いでいったが、飲もうとしたら半分凍りついていたので今回はテルモスとお湯。ペットボトルに水でも日帰りならザックの中に入れておけば滅多なことでは凍らない。ちなみに本日の朝の気温は-10℃と久しぶりに冷え込んだ。私にとって今シーズンの最低気温だった。今は日の当たる場所で風も弱く体感的にはかなり暖かくて、Tシャツの上に薄いウィンドブレーカでも寒くはなかった。もちろん、出発時の体が冷えた状態からこんな格好をしているわけではなく、最初はダウンジャケットやフリース、長袖シャツも着込んでいたが、登って体が発熱するに従って徐々に薄着になって最後はこの格好だ。

 休憩を終えて下山開始。往路の足跡を辿ればいいし、雪の柔らかい部分も往路のトレースでラッセル不要で、何よりも下り坂なので格段に楽だ。急斜面の下りは面倒なのでスノーシューのままバックで下ってクリア。その後は一部ショートカットはしたが、ひたすら自分の足跡を追う。

 標高1600m付近でカモシカ以外の動物に遭遇。予想外の人間だった。まさか同じ日にこんな山に他に入る人がいるとは思わなかった。顔は日焼けして背負うザックは小さく、この手の道が無い山にかなり手馴れた人に思えた。奉納山の帰りに出会った男性と同じ雰囲気をまとっていた。本当は山スキーで山頂を目指す予定だったが、ゲート付近のあまりの雪の少なさに歩きに切り替えたとのこと。この前はコット谷から早乙女岳を目指したが、これまた雪が少なくて堰堤を越えるのに苦労したりと時間がかかってしまい山頂まで届かなかったとのこと。雨飾山〜焼山北側の海谷山塊にも詳しく、マイナーな山に良く登っている。雪のある時期だけではなく、無雪期に北ア硫黄岳登頂にも私と同じ千丈沢から東尾根ルートで成功しているとのことで、ここまで来れば私やDJFと同志と言っていいだろう。70歳目前だと言っていたが非常にはつらつとして歳を感じさせない。私がその年齢に達するまであと20年だが、その頃にこの人と同じような山歩きがまだできているだろうか。何だかんだで立ち話が続くこと30分(帰宅後、GPSのログを見て確認)、山でこれだけ長時間話すのは山頂で休んでいる以外滅多にない。昨年の大型連休で十字峡から利根水源山脈のイラサワ山、幽の沢山を登った帰りに出会ったパーティーとも潅木藪の中で藪山の話で盛り上がったが、残雪期の変な山で人と出会うのと夏山でたくさんの登山者とすれ違うのとは全く事情が違って相手に話し掛けずにはいられず、そのまま井戸端会議に直行だ(汗)。大体、私が引きずり込んで方で、相手の人には帰りの時刻を遅くしてしまい、結果として迷惑をかけたこともあったかも・・・。まあ、今回は私のトレースのおかげで男性が楽に歩けたということで許してもらおう。

 名残惜しいがそれぞれの方向へと歩き出した。簡単に遭遇する機会は無いと思うが、またどこかで会えたらいいな。かのDJF氏との遭遇でも年単位だからなぁ。

 男性のトレースが増えた往路の私のトレースを辿っていく。私はスノーシュー、男性はつぼ足で潜り方が異なるが、男性の足跡を見てもあまり深く潜っていないし踏み抜きもほぼなかった(ゼロではない)。後から考えるとこの時点でスノーシューを脱いでも良かったかもしれない。

 往路のトレースを辿って不明瞭な地形も難なく突破し橋の袂で林道に出た。天気は最高で正面から照りつける太陽が眩しく暑いくらいだ。これは日焼け確実なので顔に日焼け止めを塗ってから林道歩きを開始。すぐに体が暑くなってTシャツ姿に変身だ。新雪が朝より緩んで平坦地の歩きでもかなり足が重い。帰りの林道歩きが今回の山行で最もスノーシューが活躍した場面だったとは皮肉な話だ。

 重い雪に苦労しながら林道の緩い登りを歩いていると反対側からスノーモービル軍団がやってきた。ラッキー! スノーモービルの轍の上を歩けば大幅にラッセルが軽くなるのだ。どうせなら早朝からトレースを付けてくれればよかったのにとも思ったが、とにかく感謝だ。私の出発地点のゲートから入ったのかと思っていたが、轍は奥志賀牧場方向の林道へと続いていた。従ってスノーモービルの轍を利用できたのは数100mだった。残念!

 スノーモービルのトレースが無くなった林道分岐から再びスノーシューを装着、重雪に苦しみながらも往路の自分のトレースがあるのでまだマシだと自分を励ます。残り1kmで除雪終点に達すれば大幅に歩きが楽になる。スノーシューを脱いで、付着している雪が溶けきるまで手にぶら下げて歩くことにする。ザックを濡らさないためだ。ゲート手前の最後の上り坂でやっと路面上の雪が消えればゲート到着。途中で出会った男性のものと思われる車がゲート前に駐車してあった。長野ナンバーなので私と同じ県内在住だ。長野県のどこまでが長野ナンバーなのか知らないが、近くはないかもしれないがそれほど遠くでもなかろう。だったらDJF氏より山で出会う確率は高いかもしれない。

 まとめ。又七山は稜線直下のみ急斜面だがそれほど危険な場所ではなく、残雪期なら比較的安心して登れる山だ。雑魚川に近い場所は地形が不明瞭で読図が難しいが、登りなら橋を渡ってすぐに東へと向かえば、今回利用した尾根に自然に乗ることができるだろう。往路の足跡が残らないくらい雪が締まった時期だと帰りは苦労するかもしれない。特にガスられたらやっかいそう。今年の残雪量は例年になく少なく、おそらくこの山も大型連休には雪が消えて笹藪に覆われているだろう。今年は貴重な残雪期が大幅に短くなりそうだ。

 

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